2024年4月15日、演歌歌手の青木美保さんが、自身のブログを通じて一つの訪問を報告しました。それは、西武渋谷店で開催されている八代亜紀さんの回顧展「生きる~ありがとう・・・これからも~」を訪れたという内容でした。
昨年惜しまれつつこの世を去った八代亜紀さん。昭和から令和にかけて日本の歌謡界をけん引してきたその存在は、今なお多くの人々の心に強く刻まれています。その八代さんの歩みと人柄を、衣装や映像、直筆の歌詞などを通して伝えるこの回顧展は、音楽ファンはもちろん、演歌に生きる人々にとっても特別な時間となっているようです。
青木さんが語った「すぐ近くにいらっしゃる気がしました」という一言には、ただの見学ではない、深い想いが込められていました。この回顧展が持つ“温度”を、青木さんの言葉を通して掘り下げていきます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e2f12122d2aa345ba2c44e85f09d6d6fc1fcbb3e
演歌歌手の青木美保、八代亜紀さん回顧展観賞し「すぐ近くにいらっしゃる気がしました」
ドレス、着物、そして“歌う姿”──映像とともに感じたその存在
会場には、八代さんがこれまでの活動の中で着用してきたドレスや着物が丁寧に展示されています。そのひとつひとつには、ただ美しいだけでなく、彼女の歌への情熱やステージでの表現力が映し出されているようでした。
青木さんが特に印象深く語っていたのは、流れていたコンサート映像についてです。八代さんのあの独特な歌声と、語りかけるようなパフォーマンスが映し出されるたびに、まるでその場に本人がいるかのような錯覚に陥る。それは決して大げさな感情ではなく、長年同じ歌の世界で生きてきた者だからこそ感じ取れるものなのかもしれません。
また、レコード大賞受賞時の記念盾も展示されており、これまでの輝かしい軌跡が、ひとつひとつ丁寧に振り返られていました。単なる“回顧展”という言葉では片付けられない、今もなお息づく“八代亜紀の軌跡”が、そこにはありました。
再現されたアトリエと“座りやすい椅子” 八代さんの人間らしさに触れる空間
衣装や映像だけでなく、展示の一角には、八代さんの創作の場であったアトリエも再現されています。そこには年季の入った椅子が置かれており、スタッフによれば「これが座りやすいの」と言って替えようとしなかったというエピソードが残されています。
その椅子ひとつにしても、八代さんの人柄がにじみ出ています。飾らない、自然体のまま。それでいてどこか芯があり、ものを大切にする心が伝わってきます。
青木美保さんは、この空間を見て、「ああ、こういう方だったな」と、かつてのやり取りを思い出したと綴っています。展示のなかには、八代さんが作詞した「生きる」の直筆原稿も展示されており、その筆跡には、伝えたい思いを真っ直ぐに綴ってきた証が刻まれていました。
原稿用紙に鉛筆で──「あなたの女」誕生の記憶と、直筆の重み
青木さんにとって、八代さんとの思い出は一つではありません。その中でも、26年前に提供された楽曲「あなたの女」の作詞原稿を直接手渡されたという出来事は、特別なものだったといいます。
当時の原稿用紙には、鉛筆で書かれた八代さんの文字が並んでいました。その文字の温もり、直接手にしたときの感動。それが、今回展示された「生きる」の直筆原稿と重なり、当時の記憶が鮮明によみがえったようです。
手書きというのは、単なる文字ではありません。言葉に対する想い、そしてその人の“呼吸”がにじみ出てくるものです。展示を通して、多くの来場者もまた、同じように“歌い手・八代亜紀”ではなく、“人間・八代亜紀”の素顔に触れることができるのではないでしょうか。
演歌ニュース記事 感想
この記事を読みながら、自然と静かな気持ちになりました。展示会の様子が語られているだけなのに、なぜかじんわりと胸に沁みてくる。それはきっと、青木美保さんの言葉に“体温”があるからだと思います。
特に印象的だったのは、アトリエの椅子の話でした。「これが座りやすいの」という言葉には、決して派手ではないけれど、揺るがない感性を持つ八代さんの生き方がそのまま現れているように感じました。
また、「原稿用紙に鉛筆で書かれた歌詞」という描写にも惹かれました。今の時代、手書きの文字に出会うことは少なくなっていますが、そこに込められた想いは、きっと印刷されたものよりも深く届くものだと思います。
展示会というより、“再会の場”のような空気を感じました。実際に足を運んでみたくなった、そんな記事でした。
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