昭和の歌謡界を駆け抜けた、ひとつの大きな星が静かにその輝きを終えました。日本歌手協会からの発表により、演歌歌手の白根一男さんが、2025年10月10日に89歳でこの世を去っていたことが明らかになりました。死因は喀痰による気道閉塞とのことです。
白根さんといえば、「次男坊鴉」や「はたちの詩集」など、誰もが口ずさんだ名曲の数々で知られています。まだ「アイドル」という言葉さえ定着していなかった時代に、学生服姿でマイクを握り、日本中の女性たちを虜にした、まさに“元祖アイドル歌手”。その訃報は、長年のファンにとってあまりに寂しいニュースとなりました。しかし、悲しんでばかりはいられません。白根さんが遺してくれた素晴らしい歌声と、その足跡を辿りながら、来年放送される追悼番組の情報も含めて、その功績を偲びたいと思います。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4b81448fd6de091468c80ca92cd262e295462089
演歌歌手・白根一男さん死去 89歳 「次男坊鴉」「はたちの詩集」など数々のヒット曲放つ
学生服での鮮烈デビュー!昭和の女性を熱狂させた「元祖アイドル」の誕生
白根一男さんのデビューは、まさに彗星のごとくでした。栃木県出身の彼は、まだ高校生だった1952年にテイチクレコードの新人コンテストで優勝を飾ります。そして翌年、なんと学生服を衣装にして「夜霧の酒場」でレコードデビューを果たしました。今でこそ制服姿のアイドルは珍しくありませんが、当時は非常に画期的なスタイルだったのです。
凛々しい学生服姿で甘いマスク、そして抜群の歌唱力。そんな彼がステージに立てば、客席からは黄色い声援が飛び交い、若い女性ファンが殺到しました。1955年には市川雷蔵さん主演の映画主題歌「次男坊鴉」が大ヒットし、続く「花の渡り鳥」でもその人気を不動のものにします。昭和30年代初頭、テレビが普及し始める前の時代に、彼は間違いなく若者たちの熱狂の中心にいました。その姿は、後の「御三家」や現代のアイドルたちへと続く、男性歌手の新しい道を切り拓いたパイオニアだったと言えるでしょう。
紅白出場と不滅の金字塔「はたちの詩集」…美声で紡いだ青春の記憶
人気絶頂の1957年には「第8回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たし、名実ともにトップスターの仲間入りをしました。しかし、白根さんの快進撃はそこで終わりません。1959年に東芝レコードへ移籍した後、1961年に発売された「はたちの詩集」が爆発的な大ヒットを記録します。この曲は、青春の淡い恋心や切なさを美しいメロディに乗せた名曲中の名曲であり、多くの人々の「青春のバイブル」として心に刻まれました。
また、彼は戦前の名曲「旅姿三人男」や「九段の母」などをカバーし、リバイバルブームの一翼を担ったことでも知られています。オリジナル曲だけでなく、古き良き歌謡曲を次の世代へと歌い継ぐ語り部としての才能も発揮されていました。ハイ・トーンで伸びやかなその歌声は、ラジオから流れてくるだけで「あ、白根さんだ」と分かるほど個性的で、聴く人の心を瞬時に昭和のあの頃へと連れ戻してくれる魔法のような力を持っていました。
生涯現役を貫いた歌心、そして新春に蘇る「あの日の姿
晩年もその歌への情熱が衰えることはありませんでした。日本歌手協会が主催する「歌謡祭」には、2022年まで長きにわたり元気な姿を見せてくれました。驚くべきは、高齢になってからも当時のトレードマークであった「学生服」を身にまとい、変わらぬキーで「はたちの詩集」を熱唱していたことです。そこには「ファンが求める白根一男」であり続けようとする、プロフェッショナルとしての誇りとサービス精神があふれていました。
そんな白根さんを偲び、BSテレ東では年明け早々に追悼特集が組まれます。1月2日の「新春12時間歌謡祭」や、1月22日の特別番組では、貴重な歌唱映像が放送される予定です。天国へと旅立たれた白根さんですが、その歌声と笑顔は映像の中で永遠に生き続けます。お正月は、こたつでみかんを食べながら、白根さんの歌声に耳を傾け、古き良き昭和に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。きっと天国の白根さんも、私たちが歌を楽しむ姿を見て、目を細めてくださるはずです。
演歌ニュース記事 感想
今回の訃報に触れ、ひとつの時代が終わってしまったような、胸にぽっかりと穴が開いたような寂しさを感じています。89歳、大往生とはいえ、やはり「昭和の顔」がいなくなるのは辛いものです。記事を書きながら特に胸を打たれたのは、白根さんが晩年まで「学生服姿」で歌うことにこだわり続けたというエピソードでした。
普通なら、年齢を重ねて学生服を着ることに照れが出てもおかしくありません。でも、白根さんはファンのために、あえてその姿を貫きました。「あの頃の青春を忘れないでほしい」というメッセージだったのかもしれませんし、何よりご自身が一番、青春時代を愛していたのではないでしょうか。そんな粋でチャーミングな大スターがいたことを、私たちは決して忘れません。「はたちの詩集」を聴きながら、心よりご冥福をお祈りしたいと思います。

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